
製造業でホームページを任されたご担当者様は、よく以下の悩みを抱えています。
- SEO対策はした方が良いと聞くけど何をすればいいの?
- SEO対策をしてるけど、これであってるの?
- そもそもSEO対策ってする必要あるの?
- SEO対策の効果が出ているか分からない
本記事は、製造業ならではの特徴を活かしながら「今からできるSEO対策」を整理してご紹介します。自社で取り組める内容と、制作会社に任せた方が良い部分の違いも解説しますので、これからのWeb戦略を考えるうえで参考にしてみてください。
▼「そもそもSEOとは?」という方はこちら
SEOの基礎知識【自社サイトの検索順位が気になる方へ】
目次
製造業でもSEO対策は必要?

結論から言うと、製造業のホームページでもSEO対策は必要です。その理由も交えてご紹介します。
従来の営業だけではカバーしきれない
多くの製造業では、これまで展示会や既存取引先からの紹介、営業担当の訪問が新規案件獲得の中心になってきました。これらは今でも非常に有効な手段ですが、「それだけで十分か」というと、そうでもなく、環境は変わりつつあります。
コロナ禍以降、展示会の開催形態が変わったり、対面営業の機会が減ったりしたことで、「新しい見込み客との接点」が以前よりも作りにくくなっています。また、物価高や消費税などの影響で今までの業務量だけでは売上が立たなくなってきている会社もあります。その穴を埋める役割をホームページとSEOが担うようになってきました。
技術者や購買担当者の情報収集はすでにWeb中心になっている
図面を引く技術者や購買担当者は、課題や必要な加工方法が出てきたとき、まずインターネットで情報を探すことが増えています。特にこれから社会の中心になる社会人は生まれたときからスマートフォンがあり、子供の頃から頻繁に検索で情報収集を行っています。
それが業務にも活かされ「材質名+加工方法」「部品名+用途」「課題+解決案」といったキーワードで検索し、ヒットした複数社のホームページから比較検討する流れが一般的になっています。
このとき、検索結果に自社サイトが表示されなければ、検討候補である「複数社」の中にすら入ることができません。そのため「会社名だけでしか表示されない状態」では、新しい取引先との出会いを逃す機会損失を起こしてしまいます。
1件あたりの単価が大きいからこそニッチな検索が重要
製造業の取引は、一件あたりの金額が大きく、長期的な継続取引になるケースが多いです。そのため、問い合わせの件数自体はそれほど多くなくても、ニッチなキーワードからの一件が大きな売上につながる可能性があります。
一般的なBtoCのように「とにかくアクセス数を増やす」発想ではなく、「自社の得意分野にマッチした見込み顧客に、確実に見つけてもらう」ことが重要です。SEO対策はこの「質の高い出会い」を増やすための施策になります。
採用・ブランディングにも影響する
SEO対策は新規取引だけでなく、採用やブランディングにも関わってきます。求職者や地域の企業は、会社名を聞いたあとに必ずと言っていいほどインターネットで検索を行います。
そのとき、技術や設備、働く人の姿や実績などが分かりやすく伝わるホームページになっているかどうかは、応募数や信頼感に直結してきます。検索結果からホームページに来てもらい、そこで自社の強みを正しく理解してもらうことが、長期的な企業価値の向上にもつながります。
今からできる製造業のSEO対策7選
1. 用途・業種を含めたキーワードを整理する

SEO対策を行うための準備として「どんな検索キーワードで見つけてもらいたいか」を整理することが大切です。ここが曖昧になると、今後行うSEO対策が全て曖昧なものになり、成果に繋がりにくくなります。
やることのイメージとしては以下のとおりです。
営業・現場・設計の担当者にヒアリングを行う
①よくある問い合わせ内容
お問い合わせ内容にはどのようなキーワードが含まれているかを調査します。基本的には文章でお問い合わせが来るものですが、それは2.3個のキーワードでまとめられることがほとんどです。(例:「鉄 溶接 岐阜」「鉄 曲げ加工」等)
②よく聞かれる専門用語
取引先や新規のお客様から「〇〇って対応できますか?」といった質問をされた場合、その「〇〇」に入るキーワードで、ユーザーが検索する可能性があるかを考えてみることをおすすめします。
③よくあるトラブル・課題
会社によく寄せられるトラブルや課題は、そのまま検索キーワードになると言っても過言ではありません。ユーザーがGoogle検索を行うときは、何かに困っている時や何かを知りたい、解決したい時にするものです。そのキーワードに似た系統のものを探すことで新たなキーワードを見つけることができます。
💡 ポイント
トラブルや課題、お問い合わせ内容の文章にセットで出てくる言葉に注目してみましょう。お問い合わせの文章をそのままコピーしてChatGPTやGeminiに「このお問い合わせをした人はどのようなキーワードで検索して来たと思いますか?」と聞いてみても良いかもしれませんね。
2. 既存ページのタイトルと見出しを整理する

キーワードの整理ができたら、次に今あるページの「タイトル」「ページの説明文(ディスクリプション)」「見出し」を見直します。この3つはGoogleの検索エンジンがこのページは何のページかを判断する非常に重要な要素です。
そのとき、キーワードがこの3箇所に含まれていると、そのキーワードで検索した時に順位が上がりやすくなります。
やることのイメージとしては以下のとおりです。
主要なページを見直す
①タイトルを見直す
タイトルには、目標とするキーワードを1回登場させ、できるだけキーワードは手前に来るように設定しましょう。(例:キーワード「鉄 溶接 岐阜」の場合「岐阜の鉄溶接なら○○○」)
②ディスクリプションを見直す
ディスクリプションは、このページが何のページかをGoogleに簡潔に伝える説明文のことです。先頭60~70文字は検索結果に表示されるため、目標とするキーワードはできるだけ手前に設定しましょう。全体は100文字前後でまとめることをおすすめします。
③見出しを見直す
見出しは、タイトルと相違がないかを確認します。極端に言うと、タイトルが「鉄の溶接」に関することなのに、見出しに「銅の加工について」といったようにタイトルと関係のない文章が多いと目標のキーワードで上がりにくくなります。設定されているタイトルを見て来たユーザーが求めている「見出し」かを今一度確認してみましょう。
💡 ポイント
1ページに欲張って複数のテーマを含めるとテーマ同士が干渉し合ってどちらのテーマでも表示されなくなってしまいます。そのため、1ページ1テーマを心がけましょう。
タイトルとディスクリプションは、サイト上で「Ctrl」と「U」を同時に押すとソースを見ることができます。その中に「title」と「description」で囲まれたタグがあるので、その中の文章を確認してみましょう。
3. 製造実績ページを充実させる

制作会社に頼んで用意してもらった実績ページ「代表的な数件だけしか載せていない」という方も多いのではないでしょうか。製造業の会社にとって実績というのは、競合他社と差別化を図ることができる貴重な「一次情報」です。
「300件の実績あり」と謳うのは簡単ですが、サイトに反映されていなければ根拠がありません。Googleは事実や根拠に基づいた記載を高く評価します。そのため、今までの実績は極力サイトに掲載することをおすすめします。
やることのイメージとしては以下のとおりです。
ユーザーが求めている情報を追加する
①どんな材質・板厚のものを対応したか
この項目を掲載することで同じ材質のものを検討しているユーザーが、製造のできを見て納得した場合、お問い合わせに繋がる可能性があります。
②費用感
どの程度の費用感で対応したのかを掲載しておくことで、ユーザーが発注のイメージをつけやすくなります。具体的な費用でなくても、目安だけでも掲載しておくことをおすすめします。
③対応した地域
製造業は地域色の強い会社も多いため、特定の地域で製造できる場所がないか探すクライアントもいます。そんなクライアントが検索するのは「鉄 溶接 岐阜」のように地域名を含んだキーワードです。そのキーワードを対策していくためにも、実績にはどの地域の実績なのかを明記しておくとSEOに良い影響を与えます。
💡 ポイント
一次情報かどうかの判断基準は「自社しか知り得ない情報」かどうかです。自社で調べた統計データ、提案内容、お客様の生の声などは、独自性の高いサイトを作るのに強い武器となります。
4. ブログを始める

専門性の高い製造業だからこそ、継続的な情報発信は大切です。専門的な知識を持った人が書くブログは、検索エンジンからの評価も高く、ユーザーからも「この会社はちゃんとした技術を持っていそうだ」という信頼感向上にもつながります。
また、ブログを書くことで今のホームページだけでは対応しきれていない細かいキーワードを拾って、細かな機会損失を潰していくことができるのもメリットだといえます。
▼ブログは何を書けばいいの?という方はこちら
製造業のブログって何を書くの?SEOを意識した記事の書き方
やることのイメージとしては以下のとおりです。
ブログを書く時のネタ
①よくある質問への回答
「アルミとステンレス、どちらが向いているのか」「板金と機械加工の違い」など、製造業スタッフなら当たり前のことでも素人のユーザーからすると非常にためになる情報であることが多いです。そのため、よくある質問の回答を1つ1つブログ形式で書くと、そのキーワードで上位表示を狙うことができるかもしれません。
②トラブル事例と対策
「溶接後の歪みを抑えるための工夫」や「量産前の試作品段階で知っておきたいポイント」など、なにかトラブルが起きた時の対策や知識をブログにまとめておくと、同じトラブルを起こしたユーザーが流入し、アクセス数を増やすことができます。
③同じ系統の事例をまとめて紹介する
すべての人に向けてテーマを広げて書いてしまうと、一般的な内容になってしまい、誰にもささらない記事になってしまいます。しかし、一つテーマを決めて同じ系統の製造実績を集めて記事にすると、そのテーマに興味のあるユーザーに深くささる記事を書くことができます。
💡 ポイント
いきなり完璧を目指さず、まずは月に1本ページで始めると続けやすいです。ブログの文字数は、最低でも1,500文字以上、SEO的効果を狙う場合は、3,000文字以上は必要になります。そのため、雑な記事を量産するよりも、質の高い記事を1.2本作成するほうがSEO的にはプラスに働きます。
5. お問い合わせ導線とフォームを見直す

せっかくSEOやブログでアクセスが増えても「どこから問い合わせしていいか分からない」「フォームが使いにくい」という状態では、機会損失を招きます。ここでは、フォームを改善してスムーズにお問い合わせができるようにする「EFO」のヒントを紹介します。
やることのイメージとしては以下のとおりです。
お問い合わせまでを分かりやすくする
①ボタンを分かりやすい位置に設置する
全てのページのヘッダーやフッターに「お問い合わせ」「無料見積もり」「資料請求」などのボタンを固定で配置しておくことで、ユーザーは迷わずにお問い合わせページに来ることができます。
②お問い合わせページに補足の文章を入れる
「図面がなくてもご相談いただけます」「小ロット・単品からでも対応可能です」といった文章を添えておくと、検討段階のユーザーもお問い合わせをしてくれるようになります。
③入力フォームは必要最低限に
ユーザーは入力する項目が多いと、それだけで「面倒くさい」と感じてしまい離脱する可能性があります。そのため、入力が必要な項目は必要最低限にし、不要な場合は消すか「任意」にすることでユーザーのお問い合わせのハードルが下がります。
💡 ポイント
いきなり見積もり依頼ではなく「無料相談」や「資料請求」などハードルの低いお問い合わせを設けると、細かな機会を増やすことができます。また、離脱を防ぐためにはスマートフォンでも入力しやすいかが重要です。
6. 基本的なテクニカルSEOを整える

SEOの専門的な部分は制作会社に任せる必要がありますが、テクニカルSEOの中には、一般の人が見ても分かるものもあります。そのため、最低限のポイントはチェックすることができます。
やることのイメージとしては以下のとおりです。
手軽に確認できるテクニカルSEO
①スマートフォンでレイアウトが崩れていないか
レイアウトが崩れているとユーザーからの信頼は落ち、サイトをスクロールする前に離脱する可能性があります。サイトの滞在時間が短くなるとサイトの評価も低くなるため、レイアウトが崩れていないかは確認しておきましょう。
②ページの表示速度が極端に遅くないか
ページの表示速度が極端に遅い場合、スマホユーザーはページを見る前に離脱する可能性があります。ユーザーが何も行動を起こさずにページを去ると「直帰率」が高まり、これが高いとページの質が低いと判断されてしまいます。そのため、表示速度は常に確認しておきましょう。
③同じ内容のページが重複していないか
ページが重複していると、Googleからは重複コンテンツと判断され、ペナルティを受ける可能性があります。ペナルティを受けると、検索結果に表示されなくなるため、注意しておきましょう。
④タイトル・ディスクリプションがページごとに設定されているか
タイトルとディスクリプションが全てのページで同じものが設定されていると、本の目次に同じタイトルが羅列しているようにGoogleからは見えてしまいます。そのため、ページごとに、そのページに沿ったタイトルとディスクリプションが設定されているかを確認しましょう。
💡 ポイント
専門的な知識がなくても「ユーザーにとって使いやすいか」を考えるだけで、基本的なテクニカルSEOができるということが分かりますね。
7. サイトのアクセス数の変動を見る

最後は「やりっぱなしにしないための仕組み」の部分です。SEO対策は、一度やって終わりではなく、その効果を見ながら少しずつ改善していくことで、じわじわと成果が出てくる長期的なものです。
今やっている対策は効果があるのかが分かってくるのも最短4ヶ月~1年かかるとGoogleは明記しているため、どの施策がうまくいったかを判断していく必要があります。
やることのイメージとしては以下のとおりです。
データから分析を行う
①Googleアナリティクスの導入
「どのページにアクセスが集まっているか」「先月と比べてのアクセス増減」「お問い合わせをしたユーザーがどのページを見たか」は、月に1回だけでも確認しましょう。
②Googleサーチコンソールの導入
「どの検索キーワードから流入しているか」「表示回数とクリック率」は確認を行いましょう。うまくいっているページのタイトルや見出し、内容を参考に他のページを改善すると良い影響を与えることができるかもしれません。
③検索順位を定期的に確認する
検索順位はSEOの成果が顕著に反映される部分です。SEO対策だけが影響するものではありませんが、数カ月かけてじわじわと成果が出てきます。半年以上経っても変わらない場合は、別の施策を行う必要があります。
💡 ポイント
初めから細かい数字を追いかける必要はありません。まずは「増えているか、減っているか」「どのページがよく見られているか」を把握し、ユーザーに人気のページの傾向を知ることが大切です。
自社でできることと制作会社に任せるべきこと
SEO対策は、外注するか自社で頑張るかの2択ではありません。
製造業の強みや一次情報は、皆様の社内にしかありませんし、逆にサイト構成やテクニカルな部分は制作会社やSEO会社の方が効率的に進められます。ここでは、それぞれの役割分担がイメージしやすいように紹介します。
自社でできること
- 自社の強み、実績、技術をまとめる
- キーワード候補、ブログのテーマ出し
- 写真、図面、技術資料の提供
以上の項目が社内でまとまっていれば、制作会社に情報を共有した際に、質の高いコンテンツを企画することができ、評価の高いサイトを実現できます。
制作会社に任せるべきこと
- サイト構成、導線設計、情報設計
- SEOを踏まえた原稿作成、リライト
- テクニカルSEO、速度改善、スマホ対応などの技術部分
- アクセス解析と改善提案
検索順位を上げるための知識やテクニカルな技術は、制作会社やSEO会社が豊富に持っています。そのため、質の高い情報があれば、その情報を活用してSEOに特化した設計にしたり、ユーザーの検索意図からお問い合わせまでの導線設計を最適化したりできます。
まとめ
ここまで見てきたように、製造業のSEO対策は「アクセスをとにかく増やす取り組み」ではなく、「自社の強みや技術を、必要としている相手にきちんと届けるための仕組みづくり」です。今回紹介した7つの対策を全て一度に行う必要はありません。まずは、できそうな対策から1つずつ丁寧にこなしていきましょう。そのうえで、自社だけでは判断できない場合は、制作会社やSEO会社のアドバイスを受けて運用していくと、効率的にWebマーケティングを成功に導くことができます。
製造業でSEO対策をご検討の方へ
サイバーインテリジェンスは、製造業に特化したホームページ制作・リニューアルを通じて、今回ご紹介したようなSEO対策の設計からコンテンツ制作まで一貫してサポートしています。「将来的に内製化を目指したい」「SEOは全くわからないから教えてほしい」といった幅広いお悩みに対応しています。今なら無料でサイト分析も行っていますので、とりあえず現状を知りたいという方はぜひ「サイト無料診断」をご活用ください。SEOについての無料相談も実施していますので、お気軽にご利用ください。