「検索上位を獲得するには、キーワードと被リンクが全て」そんな時代は変わりつつあります。
今回は、「AIの回答」が表示されるようになったことで注目されている「LLMO」の概要、SEOとの違い、具体的な対策方法についてご紹介します。
目次
LLMOとは
LLMOとは、検索エンジンや各種プラットフォームに組み込まれた、大規模言語モデル(LLM)へ最適化を行う新しいSEO対策のことです。
簡単に言うと「AIにおすすめされるページに改良する」ということです。
従来のSEO対策は「検索クローラーにページ内容を正しく理解させて、キーワード評価と被リンク評価を高めて順位を上げる」施策でした。
しかし、LLMOは生成AIが回答文を作る際に、自社サイトの情報が「引用」「要約」「推薦」されやすい形でコンテンツと構造を整えることがLLMOの施策となります。
SEO対策とLLMOの違い|早見表
観点 | SEO対策 | LLMO |
施策対象 | クローラー ランキングアルゴリズム |
大規模言語モデル |
評価基準 | キーワード 被リンク コアWeb |
意図と文脈の整合性 単語同士の関連性 信頼性 |
成果 | 上位表示 クリック獲得 |
AIの回答への採用 推奨リンク獲得 |
【大規模言語モデルの例】
GPT-4(OpenAI)
PaLM2(Google)
LaMDA2(Google)
LLaMa2(Meta)
Claude2.1(Anthropic)
OpenCALM(サイバーエージェント)
AIpaca 7B(スタンフォード大学)
LLMOが必要な理由
検索結果が「リンク一覧」から「AI回答+推薦リンク」に変わった
今まで、検索順位が1位になれば、約20~30%のユーザーがクリックしてくれていました。しかし「AIの回答」が導入されてから、一番上に大きく表示されるようになったため、ユーザーはAIの回答に目が行くようになってきています。
Amsiveのデータによると、「AIの回答」が表示されたキーワードは、クリック率が平均で15.49%減少するという結果が出ています。
AIの回答に掲載・推薦されるようなページに変えていくことが求められる環境に変わりつつあるということです。
LLMはキーワードよりも「文脈」「関連性」「信頼性」を評価する
大規模言語モデルは、キーワードの出現頻度ではなく「文脈」における意味的整合性や「単語」同士の関連性、そして情報の「信頼性」を基準に回答を生成します。
そのため、従来行われてきたキーワード密度や被リンクの対策だけでは「引用すべき一次情報源」と認識されにくくなってきます。
AI経由の流入は指名検索+権威付け効果を生む
生成AIが回答文にサイトが引用されると、ユーザーはそのサイトを信頼できるサイトだと思うようになります。これは、ユーザーがクリックをしなくても名称を認知するきっかけになるため、AI回答枠に採用されること自体が新しいブランディング活動となります。
LLMOでするべき対策
トピックと検索意図の再設計
対象のキーワードだけでなく、関連する検索意図(悩み・比較など)を洗い出し、トピックを「ユーザーの質問に答える設計」に構成を変えます。AIはキーワードよりも意味のまとまりや文脈を重視するので、網羅性のあるトピック設計が有利になります。
Q&A型|結論ファーストのコンテンツ構造
LLMは要約を作成する際に、冒頭にある結論やQ&Aのフォーマットを抽出しやすい傾向があります。そのため、本文はキーワードの羅列ではなく、検索意図を起点に「質問▶結論▶根拠・事例」の順番で配置すると、AIが核心情報を抜粋しやすい形になり、AIに流用されやすくなります。
内部リンクで関連性の濃度を高める
関連性の高いトピック同士を内部リンクで結び、1つのテーマとして情報の濃度を高めていくことで、LLMはホームページ全体を権威性のある情報源として評価します。リンクテキストには、関連性のあるキーワードを含め、文脈を強化しましょう。
EEATを高めて信頼性を向上させる
著者プロフィールや一次データへの直接リンク、最新統計の引用などを盛り込むことで、その記事やページの質は高まります。AIは信頼性の高いものを採用するので、結果的に引用されやすいページを作ることができます。
【EEATとは】
経験(Experience)・・・体験談や実際の写真
専門性(Expertise)・・・資格や役職
権威性(Authoritativeness)・・・サイトや著者の認知度
信頼性(Trustworthiness)・・・情報の正確性や誠実性
ABテストと分析
LLMOについて対策を行った場合は、必ず分析をするようにしましょう。タイトルや見出し、本文や画像など、様々な変更を試し、どのように変動するのかを分析しながら、最適な改善策を見つけていく必要があります。
LLMOのリスクと注意点
アルゴリズムの変化に左右されやすい
生成AIのロジックはまだまだ進化を続けています。GoogleのSGEやBing Copilotも頻繁に仕様が変わります。今有効な構成や記述ルールが、数カ月後には大きく変わる可能性もあるため、柔軟に対応する運用体制と継続的な対策・モニタリングが必要です。
過剰なAI対応はユーザーの利便性を損なう
AIに引用されることだけに囚われていると、実際に訪れてくれたユーザーが見たときに「人が見にくい」状態になっていると本来の目的である「集客」から外れてしまいます。引用されることも重要ですが、何より、ユーザーファーストでコンテンツを考えましょう。
データの正確性が強く求められる
LLMOでは、AIが信頼性を重視して情報を引用するので、1つの誤情報が引用されない理由につながる可能性があります。そのため、出典元の明記や一次情報へのリンク、定期的な更新を怠らないようにしましょう。
直接的な流入には繋がりにくい
AIの回答に自社サイトが引用されても、リンク自体が目立たないため、ユーザーは回答だけで満足してしまうケースも多くあります。指名検索やブランド想起を狙った戦略も並行して進め、AIや記事からの流入に頼らない導線設計も進めていく必要があります。
AIの回答と差別化する方法
AIが回答するようになったとはいえ、網羅できない要素もあります。そこを重点的に対策することで、AIでは補えない需要を満たしていけます。
画像の使用
1つ1つの項目で分かりやすい画像が補足でついていると、その記事をブックマークして読みたくなりますよね。AIは画像を出すことはできますが、複数枚出すことはあまりなく、概要を説明するために文を抜粋して表示します。
説明を補完する画像が適度に差し込まれた記事は、AIと差別化され、安定したアクセスを集めることができます。
1テーマの深堀り
1つのテーマについて詳しく掲載された記事は、AIとの差別化に有効です。例えば「映画〇〇に登場した車一覧」というテーマの記事は、AIの概要だけでは補いにくいです。概要として表示される文字数は300~500文字程度で、全ての車をAIの回答だけで網羅することは難しくなります。結果、ユーザーは全ての車を見るためにサイトに訪れ、アクセス数を増やすことができます。
地域性・業界性の特化
「〇〇市の事例」「中小製造業に特化した話」など、より細かく限定された読者層向けの文脈は、AIが一般化しすぎてカバーが難しい部分になります。内容については深く広いものを目指して対策をしてくとよいでしょう。
まとめ
LLMOは、SEOと別物ではなく、SEO対策と被る部分が多いというのが結論です。しかし、キーワードや被リンクにとらわれすぎていると、AIの回答にクリック・アクセス数を奪われて徐々に認知度や順位が降下していきます。SEOを意識しつつ、LLMOの視点も取り入れた対策に徐々にシフトしていくことが大切です。