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Webディレクターとはどんな仕事?具体的な役割・求められる能力は?

 

 

 

Web業界にはさまざまな職種が存在しますが、「Webデザイナー」「Webプログラマー」といったコンテンツの制作そのものに携わる職種は、必要とされるスキルや仕事内容をイメージしやすく、どのような能力が求められているかもある程度はっきりしているため、就職を目指しやすいといえます。

 

しかし、「Webディレクター」といわれると、管理職的な仕事なのだろうというイメージはあるものの、具体的には知らないという方が多いのではないでしょうか。

今回は、Webディレクターの具体的な役割や求められる能力をご紹介します。

 

そもそもWebディレクターとは?

 

WebディレクターはWebサイト制作に関わるデザイナーやプログラマーなどのスタッフをまとめる「監督」のような役割です。どのようなサイトを作るか、どのスタッフが何を担当するか、どのようなスケジュールで進行するかなどを決定し、制作スタッフに要望を伝えたり、スケジュール管理を行ったりします。

プロジェクト全体がスケジュール通りに進行しているかはもちろん、一部に遅れが生じていないか、スタッフ間の意思疎通が出来ているかなどにも目を配り、どのようなリスクがあるかを想定して対策を立てるのもWebディレクターの仕事です。

 

また、クライアントの要望を汲み取り、その要望とスタッフの認識にずれがないかを確認・調整するといった、品質管理やクライアントとスタッフの橋渡しなどもWebディレクターの仕事に含まれます。

Webディレクターの種類

Webサイトと一口に言っても制作される目的は多様で、目的によって求められる機能やデザインなども異なります。

例えば、商品販売を目的としたECサイトであれば購買意欲を高めるデザインやショッピングカート機能などが求められますが、エステサロンのサイトであれば安心・信頼できるといった印象を受けるデザインやコンテンツ、オンライン予約機能などが求められます。目的やターゲットが変われば運営方針も変わり、ディレクションに求められる知識やスキルも役割も変化します。

 

このことから、Webディレクターは制作・管理するサイトの目的などによって種類分けすることができます。

 

【システム系】

商品検索機能や決済機能、商品の在庫管理や顧客情報の管理システムなど、WebサイトやWebサービスにはさまざまな「システム」が組み込まれていますが、そのWebシステムの企画・開発・管理などに携わるのが「システム系のWebディレクター」です。主にシステム開発会社で求められている人材です。

 

【マーケティング・企画系】

クライアントから要望を聞き取るだけではなく、制作するサイトで売りたいサービスや商品をどのように売るかの企画や市場調査なども行い、Webサイト制作に幅広く携わるのが「マーケティング・企画系Webディレクター」です。

 

一般的に「Webディレクター」というとマーケティング・企画系をさすことが多く、Web制作会社、広告代理店、一般企業のWeb制作部署など、さまざまな場で活躍することができます。

 

【デザイン系】

Web制作のうち、デザインに特化したディレクションを行うのが「デザイン系Webディレクター」で、アート系Webディレクター、クリエイティブ系Webディレクターと呼ばれることもあります。

全体を統括するWebディレクターやWebプロデューサーと話し合いながらデザインを企画し、デザイナーへの指示やタスク管理、スケジュール管理などを行います。Webディレクターはエンジニアを兼任しないことが多いのですが、デザイン系のWebディレクターはデザイナーを兼ねることもあります。

 

【営業系】

営業系Webディレクター」はWebサイトの制作や運用・管理を行うだけではなく、クライアントに対して積極的な提案などの営業活動を展開できるWebディレクターのことです。

Web制作会社の営業職からWebディレクターになるケースが多く、クライアントの要望を汲み取ることや、クライアントに訴求する企画を立て、提案する能力に長けています。

Webプロデューサー・Webプランナー・Webコンサルタントとの違い

Webディレクターによく似た職種としては、「Webプロデューサー」「Webプランナー」「Webコンサルタント」があります。

仕事内容の共通点が多いことから混同されたり、企業の業務形態などによっては「プロデューサー兼ディレクター」のように兼任することもありますが、本来は別の職種です。

 

【Webプロデューサー】

Webサイトの構築・運用までの流れは、大きく分けて「事業計画」「サイト設計」「サイト制作」「運用・改善」の4ステップに分けることができますが、このうち、実際の制作の前段階に当たる「事業計画」と「サイト設計」に携わるのがWebプロデューサーです。プロジェクトの総責任者という立場で、資金調達や事前のマーケティングやコンセプト設計、プロモーション戦略を立てるのもWebプロデューサーの担当です。

 

一方、Webディレクターは「サイト設計」「サイト制作」「運用・改善」といった実務的な部分に携わります。Webプロデューサーが策定したコンセプトや予算などに沿って、より実務的な計画を立ててプロジェクトを遂行する立場で、いうなればWebディレクターは「設計士」、Webプロデューサーは「現場監督」のような関係です。

 

【Webプランナー】

Webサイトの構築・運用までのステップのうち、「サイト設計」はWebプロデューサーとWebディレクターが共同で行うのが一般的ですが、この「サイト設計」に特化した職種がWebプランナーです。

クライアント先を訪問して要望やスケジュールのヒアリングを行ったり、企画書やWebサイトの仕様書を作成するのが主な仕事で、一般的なWebディレクターよりも営業職的な色合いが強い職種といえます。

 

【Webコンサルタント】

Webコンサルタントは、主に運用段階にあるWebサイトの問題点を見つけ、原因分析を行ったり、対策案を打ち出すことが仕事です。

Web制作にはほとんど携わらないため、実作業的なスキルはほとんど求められませんが、SEO対策やWebデザインのトレンドに関する豊富な知識と情報が求められる職種です。データ解析やマーケティング分析といったWeb運用のプロフェッショナル的な存在といえるでしょう。

業種で異なるWebディレクターの役割

 

Webディレクターの主な仕事は「Webサイトの企画・提案」「制作スタッフの選定と制作ディレクション」「スケジュール・品質管理」「制作・納品後の管理・改善」ですが、実際の役割や求められる能力は事業形態によって異なります。

Web制作会社

Web制作会社はさまざまな業種のクライアントからWeb制作の依頼を請け負います。そのため、企画の立ち上げから納品、納品後の管理・アフターフォローまで一通りこなす必要があります。

また、複数のプロジェクトを同時進行していることが多く、制作するサイトの目的や用途の幅が広いため、適切な指示を出す能力とスケジュール管理能力、様々の業種に関する幅広い知識など、実務的なスキルが必要とされます。

システム開発会社

システム開発会社のWebディレクターは、さまざまな種類や用途のシステムがどのような仕組みで動き、どのように作られているかという知識が求められます。

また、クライアントが求める機能を実装している・問題なく動作するというだけではなく、実際に使用するユーザーにとって使いやすい・見やすいシステムになっているかどうかを考える能力も必要です。

Webサービス事業会社

独自にWebサイトやWebサービスを展開している事業会社のWebディレクターは、自社のサイトや提供しているサービスを構築・運用・保守する立場です。

自社のサイトや提供しているサービスに精通しているだけではなく、Web全般に関する幅広い知識やスキルが求められます。他の部署や外部企業と連携して業務を行うこともあるため、コミュニケーションスキルや的確な指示を出すスキルなども要求されます。

ECショップ運営会社

インターネット上で商品やサービスを販売するECショップでは、商品やサービスの魅力を的確に伝え、購入意欲を高めるサイト構築が求められます。そのため、効果的な広告やプロモーションをデザイン・企画する能力や、トレンドやマーケティングに関する知識が求められます。

また、売上管理や顧客管理などの管理スキル、ユーザーのニーズを判断する能力、必要に応じて機能実装や改修を行う開発ディレクションスキルなども求められます。

※EC:Electronic Commerce(電子商店街)

Web広告代理店

広告枠を販売することを主な業務としているWeb広告代理店のWebディレクターは、広告効果を最大限に引き出すためのマーケティングスキルや知識が求められます。

SEO対策やトレンドに関する知識のほか、広告制作に携わる場合はターゲット層がどのような広告を求めているかを的確に判断する能力、制作に関するスキルも求められます。

一般企業のWeb担当部署

一般企業のWebサイトは、認知度や信頼度の向上を目的として作られることが多いため、自社の事業内容をよく理解していることが第一に求められます。

また、事業内容の紹介やプレスリリース配信といったメディア向けの情報発信だけではなく、サイトを通じて新規顧客を獲得するなど、ユーザーのレスポンスを得ることを目的としている場合は、その目的に合ったコンテンツの制作ディレクションを行う必要があります。特に、サイトをオウンドメディア(消費者向けの自社広報手段)のように活用する場合は、SEO対策に関する知識や映像・記事コンテンツ制作に関するディレクションスキルが求められます。

 

各種SNSの運用も担当する場合は、コンプライアンス(法令遵守)に対する高い意識も必要です。

Webディレクターに必要なスキル

 

Webディレクターの仕事はWebサイトやコンテンツの企画・制作・管理など多岐にわたるため、業務を遂行するためには幅広いスキルや知識が求められます。

 

業務形態や制作・管理するサイトの目的や規模によって要求されるレベルは異なりますが、具体的にどのようなスキルが必要とされるのでしょうか。

段取り力

Webサイトやコンテンツの制作を滞りなく行うためには、事前の準備が重要となります。制作にかかわるメンバー間でどのように情報をやり取りするか、どのような順で作業を行っていくか、どのようなトラブルが予想されるか、どのように対処するかなどの「段取り」を決めるスキルが求められます。

 

【情報の共有と管理】

Webサイトやコンテンツの制作にはデザイナー、プログラマー、コーダーといった部署内のスタッフのほか、映像制作チームなどの他部署や外部企業とも連携して行います。複数のスタッフが共同でスムーズに制作にあたるためには、制作するサイトやコンテンツのイメージを共有し、制作中の進捗状況といった情報を互いに理解し、共有できる環境が必要となります。

 

制作に移る前にイメージや情報をどのように共有するか、トラブルなどが発生したときはどのように情報を伝達するかといった、情報共有と伝達の方法や管理方法を明確に決め、スタッフに周知しておく必要があります。

他部署や外部企業と連携する場合は、伝えてもよい情報の範囲などの取り決めも必要です。

 

【作業の優先順位付け】

Web制作会社などでは複数のプロジェクトを同時進行することがあるほか、一つのWebサイトを制作するときでも複数のスタッフがシステム開発とページのコーディング、バナー作成などの作業を分担して同時進行で行います。

 

例えば、一つのページに動画、文章、画像を盛り込む場合、ページ全体のレイアウトや色合いを決めてからでないと画像の制作を始められない、画像ができていないと動画を作成できないなど、それぞれの作業が相互関係になることがあります。

このようなケースでは一部の作業が滞るとほかの作業がストップしてしまうため、プロジェクト全体が滞りなく、効率よく進行するよう計画を立て、作業の優先順位を決めなくてはなりません。

 

【業務の推進】

どんなに優れた計画を立てていても予想外のトラブルが発生してプロジェクトの進行が滞ったり、同時進行しているプロジェクトの進行が滞った影響で、他のプロジェクトに影響が出たりすることがあります。

また、クライアントの急な予定変更や予算の削減で計画を大きく変更しなければならない場合もあるでしょう。

 

Webディレクターには、トラブルを予想して余裕のあるスケジュールを立てる能力はもちろんですが、計画通りに業務を推進する、予定外のトラブルがあっても業務を遂行できる力が求められます。

コミュニケーションスキル

クライアントと制作スタッフや、制作スタッフ同士のコミュニケーションを橋渡しするのもWebディレクターの役割の一つです。制作前の打ち合わせはもちろん、制作中の中間報告や納品後のフォローなど、コミュニケーションスキルが求められる機会がた多々あります。

 

【クライアントの理解とコミュニケーション】

デザインイメージや目的、コンテンツ内容、機能、納期や予算など、クライアントが何を求めているかを正確に受け止め、理解する能力はWebディレクターにとって欠かせないスキルです。

 

また、クライアントの要求を理解するだけではなく、要望を論理的にまとめ上げ、どのような形で要望に応えていくかを具体的にイメージし、クライアントに伝え、場合によっては折衷する能力も求められます。

制作が始まったら定期的な状況報告や、新たな要望の聞き取りなどの打ち合わせを行う必要があるため、コミュニケーションスキルも欠かせません。

 

【制作スタッフ間のコミュニケーション】

複数のスタッフが共同で作業を行う際、お互いに進捗状況を確認しあったり、要望を伝えあったりすることは品質向上やスケジュール調整のために欠かせません。

 

制作スタッフが個人間でコミュニケーションをとって情報交換をしてもよいですが、業務が煩雑になったり、スタッフ同士の相性が合わなかったりするとコミュニケーションがスムーズにできなくなります。人とコミュニケーションを取ることが苦手なスタッフや、要望やアイデアがあっても自信がないなどの理由から言い出せないスタッフもいるでしょう。

 

Webディレクターは、制作スタッフ間の情報共有やコミュニケーションが円滑にできるような雰囲気を作ったり、制作スタッフ同士では直接伝えにくいお互いの要望などを聞き取って伝える「橋渡し」的な役割を担ったりするコミュニケーションの調整スキルが求められます。

Webマーケティングスキル

 

Webサイトやコンテンツが目的を果たすためには、クライアントが何をしたいかを理解するだけではなく、その先のユーザーが何を求めているかを知り、クライアントの目的とユーザーのニーズを近づけていく必要があります。

Webマーケティングスキルはクライアントとユーザーをどう結び付けていくかを考え、的確に実行していくための必須スキルです。

 

【情報収集能力】

Webサイトやコンテンツは、優れたシステムやデザイン、興味深い内容を備えているからといって人気や注目を集めるとは限りません。どれだけ質が高くてもユーザーのニーズに合っていなければ利用されることもなく、目的を果たすことができません。目的を達成するためには、ターゲットを絞り、そのターゲットのニーズに合わせてサービスを提供していくことが重要になります。

つまり、的確なサービスを提供するにはユーザーが何を求めているかをまず知る必要があります。なかでも、ECサイトやWeb広告などはトレンド性が要求されるため、高い情報収集能力が求められます。

 

【Web広告スキル】

ターゲットのニーズに合わせた質の良いサービスや情報を提供することはWebサイトやコンテンツの目的達成に欠かせない要素ですが、ただ提供しているだけではユーザーを増やすことは不可能です。新規のユーザーを増やすためにはWeb広告やプロモーション活動などを行うことで認知度を高める必要があります。広告やプロモーションの企画・制作・実行もWebディレクターの仕事です。

 

しかし、Web広告やプロモーションは「やればいい」というものではありません。

例えば、メイクや美容に関心がない男性に向けてコスメグッズの広告を見せても、興味を持ってもらえないばかりか、広告が煩わしい・不快といったネガティブなイメージを持たれる可能性もあります。

また、興味や関心を惹かないデザインや内容の広告では、高い効果を得ることができません。広告の効果を最大限引き出すためには、「どこに・どのような広告を出すか」が非常に重要なポイントとなります。

Webディレクターには、どのような広告が多くの人の興味・関心を惹くか、どこで配信すればターゲットに届けることができるかを判断する、Web広告スキルが求められます。

 

【SNS運用知識】

Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSは、無料で利用できる情報発信手段として多くの企業や機関が利用しています。ユーザーとの距離が近く、リアルタイムで情報交換ができ、広報だけではなく情報収集にも活用できるのもメリットです。

しかし、発信する内容やユーザーとの距離感などによっては、「炎上」を招く可能性があり、企業やコンテンツ、サービスのイメージを損なうなどのデメリットもあります。

SNSを運用する際はSNSの機能を熟知するだけではなく、コンプライアンス、マナー、SNS上で取り上げるトピックなどに注意を払わなくてはなりません。

また、SNSはサービスによって利用しているユーザー層や好まれる投稿の傾向が異なります。広報や情報収集の手段としてSNSを運用する場合は、どのSNSであれば求める結果・効果を得ることができるか、どのような方針で運用するかを検討して適切に活用するための知識が必要となります。

 

【SEO知識】

Web広告などでWebサイトやコンテンツの認知度を上げることはできますが、広告などの媒体はニーズが見込まれる相手に対して情報を提供する方法です。そのため、効果の高い場所に質の良い広告を掲載していても、ユーザーが情報を求めているタイミングに合致していないとアクションを引き出すことができません。

 

一般的に、利用したい・興味があるサービスや商品の情報を求めるときはGoogleやBingなどの検索エンジンを使用します。つまり、検索エンジンからWebサイトやコンテンツを認知した人は潜在的なユーザーであり、広告で認知した人よりもアクションを引き出せる可能性が高いといえます。

しかし、検索結果として表示されても表示順位が低いと、アクセスされる可能性が低くなり、アクションを引き出すこともできません。目標を達成するには、検索順位を上げるためのSEO対策が必要不可欠です。

 

【アクセス解析スキル】

Googleアナリティクスなどを利用したアクセス解析は、SEO対策の効果がどの程度あるかを知るだけではなく、どのような方向でSEO対策や広報を行っていくか、どのようなサービス、商品、コンテンツをユーザーに提供するかを検討するための重要な情報源です。

さらに、ユーザーがどのようにサイト内を移動しているか、どのページで離脱しているかなどを知ることで、Webサイトの構成にどのような問題があるか、問題解決のためにはどのような点を改善すればよいかを知ることができます。

アクセス解析スキルは、目標を達成し、成果を上げ続けていくサイトの構築と運用に欠かせないスキルです。

 

【編集・ライティングスキル】

Web広告やSNS、SEO対策などを行ってアクセス数を稼いだとしても、コンテンツに魅力がないとユーザーの離脱率が高くなったり、リピートされにくくなったりします。

また、SEO対策においても近年はコンテンツの質を重視する傾向が高まっているため、魅力的な新規コンテンツを配信すると共に、アクセス解析の結果に応じて既存のページをブラッシュアップすることは、アクセスアップやリピーター獲得、成果率アップなどのために欠かせません。

 

コンテンツそのものを作るのはライターやデザイナーなどの制作スタッフですが、テーマの選択や文章・デザインのイメージなどはWebディレクターが決定します。

さらに、出来上がったコンテンツ内容をチェックして、必要があれば修正を指示したり、軽微な内容であればディレクター自身が修正を行ったりします。

そのため、どのような内容が求められているかを知り、ニーズに合わせたコンテンツを構成する力と、的確な指示を出したり、簡単な修正を行える程度の編集・ライティングスキルが必要とされます。

 

【知的財産権(著作権)や業法の知識】

制作したWebサイトやコンテンツが知的財産権を侵害していたり、古物営業法などの業法、薬事法、景品法などに抵触していると、訴訟や法的措置の対象になることがあります。なかでも医療や美容に関する表現の規制は厳重なため、ECサイトや美容・健康・医療に関係するコンテンツや広告を制作するときは注意が必要です。

画像や文章などが無断転載や盗用でないこと、法に抵触していないこと、公序良俗に反していないことをチェックするのもWebディレクターの仕事です。見落としてしまわないよう、制作するコンテンツに関する法律の知識だけでも身につけておく必要があります。

 

【スケジュール、予算などの管理能力】

Webディレクターに求められる能力は制作するサイトやコンテンツの種類によって違いがありますが、スケジュール、予算などの管理能力は全てのWebディレクテーに求められる基本的な能力です。

自社スタッフのみで制作にあたる場合、管理の対象となるのは主にタスク、スケジュール、予算ですが、作業を外注するときなどは外注管理も必要になります。

例えば、複数の案件を同時進行で抱えており、自社スタッフだけではリソースが足りないという場合や、自社スタッフでは作ることができないシステムの開発などは外注を利用するということはよくあります。

作業を外注すれば、自社スタッフの作業量が減るため、スケジュールに少し余裕ができますが、外注費が発生する分、予算の余裕が減ります。スケジュールと予算のバランスを考えながら外注先の選択や値段交渉、納期の決定を行い、外注先への進捗確認や打ち合わせも行うのがWebディレクターです。

Webテクニカルスキル

 

 

Webディレクターは、具体的な制作スキルを求められない職種ですが、Webサイトがどのようなな仕組みで構成され、動作しているのかを知らないと制作スタッフに指示を出したり、クライアントの要望に適した提案を行うことが出来ません。

そのため、企画立案や外注管理、制作品質にも関わるのがWebテクニカルスキルです。

 

【フロントエンド知識】

フロントエンドとはWebサイトやWebコンテンツのうち、ユーザーが直接目にする部分のことで、デザイナーが制作したデザインを元に視覚的に閲覧できる状態のサイトを構築していきます。

サイトを作るにはHTML、CSS、Javascriptなどの言語を使用しますが、それぞれの言語ごとに得意・不得意や、出来ることと出来ないことがあります。

 

例えば、全てのページに共通したメニューを表示する場合、各ページにメニュー部分のHTMLを埋め込む方法と、Javascriptを使って外部から読み込む方法があります。ユーザーから見たデザイン上は同じですが、ページの容量やメンテナンス性には違いがあります。

また、近年はパソコン、タブレット、スマートフォンなど、ユーザーが閲覧する環境が多種多様になっているため、その環境に合わせた表示サイズやデザインのサイトを作ることが重要になっています。ターゲットとするユーザーがどのようなデバイスを使ってアクセスするかをイメージし、デザインを考えなくてはなりません。

Webディレクターは制作に直接携わるわけではないため、制作スキルを持っている必要はありませんが、どのような言語を使用すればどのようなことができるのかを知らないと制作スタッフに指示を出したり、ユーザーファーストなデザインを考えたり、クライアントに最適な提案を行ったりすることが出来ません。専門的なレベルでなくても、基本的なフロントエンドの知識は必須といえるでしょう。

 

【バックエンド知識】

Webサイトやコンテンツのうち、ユーザーの目に直接触れる部分をフロントエンドと呼びますが、バックエンドとはユーザーの目に直接触れない裏側の部分のことをさします。

例えば、会員登録や問い合わせのフォームに入力されたデータを取得したり、ブログなどのコメントフォームに書き込まれた内容をページに表示したりといったシステム的な部分がバックエンドに該当します。

 

バックエンドで使用される言語にもさまざまな種類があり、言語ごとに得意・不得意や可能・不可能の違いがあるほか、プログラムの実行速度や開発・運用するのに必要な環境も異なります。

そのため、自社では対応しきれず外部のシステム開発会社に外注しなくてはならないということも少なくありません。バックエンド知識がないと、どのような内容であれば自社だけで対応できるかの判断ができず、外注する必要性があるかどうかを判断できなければ予算を設定することもできません。

Webディレクターには、バックエンドの関する幅広い知識と、自社で対応できる範囲を判断する能力が求められます。

営業力

営業力の高さや内容は業務形態によって違いがありますが、企画内容をクライアントに的確に伝える力や、現在抱えてる課題を明確にする力はWebディレクターにとって欠かせないスキルです。

営業力が高いとクライアントからの信頼感も高まるため、新規案件の獲得や継続発注などの業績アップにもつながります。

 

【ドキュメント作成スキル】

クライアントや外注先との打ち合わでは、要望定義書、仕様書、報告書など、さまざまなドキュメントが必要になります。

ドキュメントで最も重要なのは内容であるため、文章だけのドキュメントでも要件を満たすことはできます。

しかし、クライアントにとってドキュメントの見やすさや分かりやすさ、デザイン性などは制作物のセンスやレベルを判断する材料であり、依頼するかどうかを決定する要素の一つでもあります。

また、内容が不明瞭であったり、誤字脱字が多かったりするドキュメントは不信感を産む原因になります。クライアントが安心して依頼できる・依頼したいと思えるドキュメントを制作するスキルはWebディレクターに欠かせないスキルです。

 

【企画提案スキル】

WebサイトやWebコンテンツ、Web広告などの制作を依頼するクライアントは、必ずしもWebに関する知識を持っているとは限りません。なかには、Webに関する知識はほとんどなく、Webサイトを開設することでどのような効果が得られるのか、どのような機能を備えたサイトを作ればよいのかわからないというクライアントもいます。特に機能やデザインについては、明確なイメージを持っているクライアントの方が少ないかもしれません。

このような場合、クライアントと打ち合わせをしながら「目的」「目的を果たすために必要な機能」「デザインイメージ」「内容」といった要望を聞くだけではなく、積極的に企画提案することで制作物のイメージを構築していく必要があります。曖昧なまま制作を始めてしまうと、制作途中で大幅な仕様変更や機能追加が発生する可能性がありますので、リスクを減らすためにも企画提案スキルは欠かせません。

 

【課題抽出スキル】

クライアントの要望や人的リソースなどの情報から、現状どのような課題を抱えているのかを抽出する作業は企画書作成に欠かせないプロセスです。

例えば、開設済のWebサイトの集客効果が思わしくないという場合、「SEO対策が不十分」「コンテンツの質・量が不足している」「サイトデザインが悪い」など、さまざまな原因が考えられます。

もし、サイトデザインが原因で成果が出ていない場合、デザインの見直しと変更・改善が必要となりますが、課題抽出が不適切だと「コンテンツの質と量を充実させる」「広告の量を増やす」など、誤った方向性の企画を立ててしまう可能性があります。ある程度の効果は得られるかもしれませんが、根本的な課題は残ったままですので、費用対効果の低い企画となってしまいます。

このように、課題抽出スキルの不足によって起こる問題は、企画書作成時はもちろん、制作段階や運用・管理フェーズでも発生します。課題抽出スキルは、正しい方向性を打ち出し、目標を達成するため必要なスキルです。

 

【プレゼンテーションスキル】

クライアントとの打ち合わせはもちろん、制作スタッフとのイメージ共有のためにプレゼンテーションを行わなくてはならないことがあります。

複数の人物を対象に、現在の課題は何か、どのような方法で解決・改善するか、企画や制作のイメージなどを的確に伝えなければならないプレゼンテーションでは、ドキュメントやスライドなどの作成スキルだけではなく、論理的で理解しやすい話し方、限られた時間内で必要な情報や主張したいことを然り伝える段取りの良さなどが要求されます。

また、案件取得や予算獲得などのためにプレゼンテーションを行う場合は、相手の気持ちに訴えかけるアピール力なども必要です。業務形態などによってはあまり必要ないスキルかもしれませんが、プレゼンテーションスキルがあるWebディレクターは、より幅広い分野で活躍することができます。

あると有利な資格

Webディレクターは資格がなくても就くことができる職種ですが、資格を持っていると、Webに関する知識やスキルを客観的にわかりやすくアピールでき有利に働きます。

Web業界に携わった経験がない人はもちろん、業界経験者がWebディレクターを目指すときにも、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

 

【Webディレクション検定試験】

Webディレクション検定試験は、Webディレクションに必要とされるスキルに規格や仕様を定めることで、一定の品質が保たれた制作管理が行えるという考えに基づいた認定試験です。

Web制作の工程管理、現状分析、プロジェクト企画、情報構造設計、集客施策立案や実施といった、Webディレクションに関する実践的かつ専門的な内容が盛り込まれた試験で、合格すると「Webディレクター」の資格を得ることができます。

受検資格は特に設定されていないため誰でも受けることが可能です。合格基準は正解率70%で、資格の有効期限は二年間となっています。

 

【Webデザイン技能検定】

Webデザイン技能検定は、Web関連の資格試験の中で唯一の国家試験で、国際標準規格などに基づいたWebデザインに関する知識・技能、実務能力を備えていることを証明する検定です。

試験は実技および学科試験で実施され、内容によって一級から三級まで設定されています。

三級は受検資格が設定されておらず、誰でも受けることができますが、二級以上は学歴や実務経験などの受験資格が設定されています。

 

【Web解析士】

Web解析士は、アクセス解析やWebデータ解析といった、Webに関するデータの分析を行い、課題を読み取り、目的達成のための施策を打ち出す力を測る認定試験です。

Web解析士、上級Web解析士、Web解析士マスターという三つのグレードに分けられており、Web解析士は誰でも受検することができます。

まとめ

 

幅広いスキルと知識が求められるWebディレクターの仕事は、決して簡単な仕事ではありませんが、企画から制作、管理などWeb制作の全てに関わることができ、職務を通してさまざまな経験を積むことができます。

デザイナーやプログラマーといったエンジニア、Web制作会社の営業職からのキャリアチェンジのほか、Web専門スクールで学ぶなどの方法で知識やスキルを習得してWebディレクターになることも可能です。一つのサイトやコンテンツを作り上げるという達成感や、やりがいを感じられる職種です。

 

 

執筆者:​株式会社サイバーインテリジェンス

代表取締役 渡辺誠司

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